統合失調症の幻聴や妄想などの陽性症状には薬物療法が有効です。
向精神薬により過剰に活動している脳の動きを抑えることができます。
しかし中には自己判断でやめてしまう人がいます。
途中でやめてしまうと再発リスクが上がってしまいます。
社会復帰するためにも薬の服用は続けてもらいたいと家族は思うものですが、本人が拒否する場合かなり難しいのが現実です。
その場合頭ごなしに怒ってしまうこともあるかもしれませんが、それは反発を引き起こし逆効果になってしまいます。
ではどうすれば統合失調症の人に薬の服用を続けてもらえるのか。
今回はそんな疑問を解消するために、統合失調症の人に薬の服用を続けてもらう方法について調べてみました。
薬の服用をしてもらうために、出来ることからやってみましょう。
この記事では薬の服用を続けるために家族ができる事についてご紹介したいと思います。
今回の記事が困っている人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。
この記事の内容
飲みたくない理由を探る
薬の服用をしない理由は人によって様々です。
飲みたくないのは何故かきちんと聞いてみましょう。
薬を飲まなくなる主な理由
- 自分は病気ではないから飲みたくない
- 薬を飲むことに納得いかない
- 薬を飲んでも効いていない気がする
- 薬の副作用がつらい
- たくさんの薬を飲むのがめんどくさい
- 薬に頼りたくない
- もう治ったから飲みたくないなど
特に病識がない場合や嫌々薬を飲んでいる場合は途中でやめてしまう可能性があります。
薬を途中でやめてしまった場合再発する危険性が高くなります。
再発を繰り返すと症状が慢性化し治りにくくなってしまいます。
服用中断や飲み忘れを防ぐ方法
副作用を気にする場合の配慮
飲み始めのころは「頭がボーっとする」などの副作用が一番強くでてきます。
副作用は飲み続けていくうちに徐々に軽くなってきますが、この副作用が原因で薬の効果が出る前にやめてしまうケースがあります。
薬の効果が出る前にやめてしまうと意味がないため、統合失調症の人には飲み続けてもらう必要があります。
そのために注意したいのが、薬の飲み始めや病院治療から自宅療養になったときに「副作用でつらいことはある?」と家族側から声をかけてあげることです。
副作用でつらくても自分から言い出せないことがあるため、特に副作用が出やすい時期には家族が気にかけてあげてください。
副作用が辛そうな場合は、主治医に相談して薬の変更をお願いしましょう。
向精神薬は人によって合う合わないがあるので、心配事や不安なことは主治医と情報を共有することがとても大事になります。
飲む意思がない場合の対処
薬を飲んで幻聴や妄想がなくなると「治った」と思って自己判断でやめてしまうケースや「薬を飲むな」という幻聴や「それは毒だ」という妄想などにより薬を飲まないケースがあります。
幻聴や妄想がなくなったのは、薬により症状を抑えているからです。
薬を飲むのをやめてしまうと再発リスクが高くなるため、自己判断でやめるのは危険です。
また幻聴や妄想がある場合は、飲み始めて日が浅く薬の効果がまだでていないか薬が合っていないことが考えられます。
薬を服用するのを拒否する場合は次のような対処方法を試してみてください。
対処方法
- 薬の必要性や性質について本人を交えて家族で話し合う
- もう一度主治医から病気の説明と服用の必要性について説明してもらう。
- デポ剤(注射剤)での治療に切り替えてもらう
飲み方の工夫
一緒にご飯を食べたあと家族のいるところで服用できるように、机の上にその日飲む薬を置いておいたり、薬を飲んだらカレンダーにチェックを入れるなどすると良いでしょう。
自己管理してもらう場合でも、お薬カレンダーや100均のお薬ケースなどで曜日ごとに薬をあらかじめ入れておくとその日飲んだかが家族もひと目でわかり、飲み忘れを防ぐことができます。
またスマートフォン用の服薬アプリを利用すると服用時間を知らせてくれるので決まった時間に服用することができます。
向精神薬は飲む時刻よりも1日の服用量が大事になってきます。
そのため服用回数は、なるべく少ない方が飲み忘れを防ぐことができます。
薬の量や服用回数が多い場合は主治医に相談して1日1回などにしてもらいましょう。
訪問看護を利用する
訪問看護では服用の管理指導もおこなってくれます。
そのため本人や家族で薬の服用の管理が難しい場合には利用することを検討しましょう。
訪問看護は保健所や医療機関で利用することができますが、利用するには主治医に相談する必要があります。
保健所の訪問看護は、無料ですが利用できる時間や日にちが決まっている場合が多いです。
医療機関での訪問看護は有料ですが、健康保険の適用ができます。
僕の場合、月3000~4000円で週1での訪問看護をお願いしています。
下記には僕の経験を記載します。
僕の父親の場合は薬の飲み忘れを防ぐために、入院する時からデポ剤での治療をお願いしていました。
そのため入院中からデポ剤での治療を目指し、薬の副作用がないかの確認をしてもらっていました。
その結果今では月に1回の診察時に注射するだけで済んでいます。
また訪問看護では、薬の管理や家族の相談にも乗ってもらっています。
今回は薬の服用を続けるために家族ができる事についてでした。
主治医と協力して、統合失調症の人が薬を服用し続けていけるように工夫していきましょう。
いずれにしても薬の服用を続けていくためには、家族の協力はとても大きいものです。
規則正しく薬を服用できるようになったら、薬の管理も本人に任せて見守っていいきましょう。
今回の記事が困っている人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。
統合失調症を学ぶのにおすすめの本を一覧にしました。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。
統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。
同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」
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