治療

統合失調症になった時の治療について①薬物療法

統合失調症の人の治療において、基本の柱となるのは以下の2つです。

  1. 薬物療法
  2. リハビリテーション

この記事では①薬物療法について書いています。

統合失調症の治療は、薬物療法とリハビリテーションを組み合わせながら行います。
どちらか1つ(薬物療法orリハビリテーション)では再発する可能性が、高くなってしまいます。
そのため、薬物療法とリハビリテーションの両方を組み合わせて治療していくことが重要になります。
今飲んでいる薬がどういうものか知りたい人、これから薬を服用する予定の人、薬の副作用が気になり飲むことに抵抗を感じる人に向けて書いています。

統合失調症になった時の治療について①薬物療法

抗精神病薬と言われている薬を使った治療です。
定型抗精神病薬(第一世代)と非定型抗精神病薬(第二世代)があります。
定型抗精神病薬(第一世代)は陽性症状にはよく効きますが、陰性症状には効きにくい薬です。
一方、非定型抗精神病薬(第二世代)は陽性症状と陰性症状の両方に効くと言われています。そのため、非定型抗精神病薬(第二世代)が治療で最初に使われる薬になります。
陽性症状と陰性症状については統合失調症の経過と症状についてを参照してください。

残念ながら薬を飲めばすぐに統合失調症の症状がなくなるわけではありません。
効果が出るまでには二~三週間かかると言われています。

効果が出るまで少し我慢が必要です。

薬の種類は主に次の表の通りです。
ここに表記した以外にも自分に合った薬を主治医と相談して探すことが大事です。
薬の効き目や副作用は人それぞれです。自分に合わなければ主治医に素直に症状を伝えて薬を変えてもらいましょう。

定型抗精神病薬(第一世代)

分類名 一般名 商品名 作用
フェノチアジン系 クロルプロマジン ウィンタミン 興奮や混乱などを抑える鎮痛作用が強い
コントミン
レボメプロマジン ヒルナミン
レボトミン
ブチロフェノン系 ハロペリドール セレネース 陽性症状に効き、幻覚や妄想を抑える作用が強い
ネオペリドール
ハロマンス
ベンザミド系 スルピリド ドグマチール 陰性症状の改善・意欲の向上

非定型抗精神病薬(第二世代)

分類名 一般名 商品名 作用
SDA
(セロトニン
・ドーパミンアンタゴニスト)
リスペリドン リスパダール 陽性症状と陰性症状の両方に効果がある
ブロナンセリン ロナセン
ペロスピロン ルーラン 陽性症状と陰性症状の両方に効果があり、抗不安効果もある
パリペリドン徐放剤 インヴェガ リスパダールの改良薬で、リスパダールに比べ作用時間が長い
MARTA
(多元受容体作用抗精神病薬)
オランザピン ジプレキサザイディス 鎮静効果が強く、抗幻覚妄想作用に加えて気分安定効果も強い
フマル酸クエチアピン セロクエル 陽性症状と陰性症状の両方に効果がある
クロザピン クロザリル 他の薬が効かなかった場合に使用される
※入院が必要
DPA
(ドーパミン受容体部分作動薬)
アリピプラゾール エビリファイ 陽性症状と陰性症状の両方に効果がある

急性期には陽性症状を抑えるために、薬が多く処方させれますが、症状が改善してくるにしたがって種類や量は減ってきます。
しかし、症状が落ち着いてきても自己判断で飲むのをやめてしまうと再発するリスクが高いため服用は続けなければいけません。

薬の形状について

錠剤 携帯しやすく、飲みやすい。
細粒 胃薬のような細かい粒状にしたもの。
内服液 液状の薬のため、飲みやすい。
口腔内崩壊錠
(OD錠)
口の中で溶ける錠剤。水なしで飲める。
徐放性製剤 薬の成分が少しづつ、体内に放出するようになっている。1日の服用回数を減らすことができる。
注射剤
(デポ剤)
筋肉への注射でゆっくりと体内に薬が取り込まれるため、1回の注射で2~4週間薬の効果が持続する。飲み忘れがないが、体内から排出させにくいため、副作用が出た場合の対応が難しい。

 

薬の副作用について

抗精神病薬により症状の改善が期待できますが、一方で副作用もあります。
多くは飲み始めが一番強く副作用を感じるため、飲むのをやめたくなるかもしれませんが、徐々に副作用は弱まっていくので飲み続けることが大切です。
しかし、副作用がつらい場合には必ず主治医に相談し、薬の量や薬の種類を変えてもらいましょう。

問診の際には、症状が改善したかだけでなく、日常生活が良くなったかどうかも合わせて伝えると良いと思います。
情報を主治医と共有することで自分に合った薬を見つけられる可能性があがります。

副作用の症状について記載します。参考にしてください。

重症な副作用

●悪性症候群
突然の高熱(40℃以上になる場合もある)
体のこわばりや意識障害がおこる

上記の症状がでたらすぐに病院へ!!

 

徐々におさまると思われる副作用
どうしてもつらい場合には主治医に相談してください。

  1. アカシジア

    手足がムズムズする。落ち着いていられず、そわそわしてしまう。

  2. パーキング症状

    手足のふるえや筋肉のこわばり、歩行が小刻みになる。

  3. ジストニア

    首が傾く・反る。眼球が上を向く(白目になる)、舌が出たままになる。

  4. 遅発性ジスキネジア

    体が勝手にくねくね動く。また、舌が勝手に左右に動いたり、口をもぐもぐしたりするなど。

  5. 眠気やだるさ

    頭がボーとする。食事やトイレもままならないなど生活のさまたげになる。

  6. 自律神経症状

    口の渇き(水中毒に注意)、よだれ、不整脈、便秘、立ちくらみ。

  7. 過剰なホルモンによる症状

    生理不順、乳房がはる、性欲減退、勃起不全など。

  8. 肥満やメタボリックになりやすい

    体重の増加や血糖値・コレステロールの上昇。

 

水中毒とは?
大量の水(一度に1リットル以上)を飲むことが原因の病気です。
水を飲み過ぎると体内のナトリウムが低下して、頭痛や吐き気がおこります。重症の場合は意識障害やけいれんがおき、命にかかわります
予防としてはガムを噛んで唾液をだして口が乾くのを防いだり、水の代わりにスポーツドリンクや塩あめをなめるなど塩分(ナトリウム)を一緒に取るようすることです。

下記には僕の経験を記載します。

僕の父親は薬の飲み忘れをすることがあると思っていたので、入院が決まった後に注射剤(デポ剤)での服用を主治医に相談しました。
注射剤(デポ剤)は1回の注射で2~4週間薬の効果があるため、飲み忘れがなく父親に毎回服用したかを確認しなくてもいいことにメリットを感じました。また、2~4週間効果があれば、外来通院をしながら治療できるとも思いました。
主治医も了承してくれて、入院中にまずは飲み薬で効果や副作用を確認後、実際に注射剤(デポ剤)を使用してくれました。その後、副作用もなく効果もみられたため、現在も月に1回病院の外来で注射剤(デポ剤)を投与してもらっています。

人によって薬の効果や副作用は違います。自分に合った薬を見つけられるように副作用があった場合はきちんと担当医師に相談しましょう。

今回は統合失調症になった時の治療について①薬物療法でした。
治療について学びたい人たちの役に少しでも立てれば嬉しいです。

下記に僕が統合失調症について調べた際に参考になった本を紹介しておきます。
他のおすすめ本についてもわかりやすいように、一覧にしてます。おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

 

マンガでわかる!統合失調症
統合失調症の母親をもつ子供目線で書かれており、感情移入しやすかったです。
統合失調症について勉強するきっかけになりました。
イラスト中心のため読みやすく、文字ばかりの本が苦手な人や統合失調症についてこれから学びたいと思っている人におすすめの本です。

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どうしたらいいの?「統合失調症」

統合失調症とはどんな病気かその症状や治療、周囲のサポートなどについて簡潔に書かれています。全95ページと他の本より薄いですが、その分読みやすく重要なポイントがまとめられています。統合失調症について知りたいが「時間がない」「何を読んだらいいのかわからない」という人にはおすすめの本です。本書を読んでもっと詳しく知りたいと思ったら、別の本を読むことにしてみたらいいと思います。

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読めば気持ちがす〜っと軽くなる
本人・家族に優しい統合失調症のお話 ココロの健康シリーズ

見開きページの左側は短い文章でポイントがわかるようにしてあり、右側で詳しく説明されています。

難しい専門用語を極力使っていないため、理解しやすく読みやすかったです。
長い文章を読むのが苦手な人や気軽に読みたい人におすすめの本です。

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同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」