治療

統合失調症の人は太りやすい?肥満と統合失調症について

統合失調症の人は統合失調症でない人に比べ、2倍以上肥満になりやすいといわれています。

その原因のひとつには薬の副作用が考えられます。

統合失調症の人の治療薬の中には、糖代謝や脂質代謝などの代謝系に作用する副作用があります。

この代謝系に作用する副作用(代謝異常)が肥満に繋がるといわれています。

ただし、太ってきたのがすべて薬のせいと考えるのは良くありません。

なぜなら太る原因の多くは、運動不足や不規則な生活、偏った食事などの生活習慣の乱れだからです。

太ってきたからといって、安易に薬をやめないようにしましょう。
自己判断で薬をやめることは、デメリットのほうが大きいです。

また薬の副作用には、自律神経系の副作用(口の渇き)やホルモン系の副作用(性欲減退)などさまざまな副作用があります。
詳しくは下記を参照してください。

治療してから体重が増加してきて心配な人やこれから瘦せたいと思っている人達の役にたてたら嬉しいです。

この記事の内容

肥満とは?

摂取エネルギーが消費エネルギーを超えると、余分なエネルギーが体脂肪として体に蓄積されていきます。
この体脂肪が一定の割合を超えた状態を肥満といいます。

肥満の判断基準

肥満の判断基準としてはBMI(体格指数)が良く使用されます。
BMIの計算式は下記の通りです。

BMI(体格指数)=体重(kg)/身長²(m)

日本ではBMIが25以上の場合を肥満とされています。

例:
身長160cm、体重70kgの場合
70/(1.6)²=27.34

BMIは27.34のため肥満と判定されます。

メタボリックシンドローム(メタボ)とは?

ウエスト周囲が男性85cm以上、女性90cm以上の人が、下記の①~③の3つのうち2つ以上に該当した場合、メタボと判定されます。

①高血圧

②脂質の異常

③血糖値の異常

統合失調症の肥満の割合

統合失調症の人は統合失調症でない人に比べ、2倍以上肥満になりやすいといわれています。

また、統合失調症の治療のために入院している人より、外来治療をしている人の方が肥満率が高いことが分かっています。

肥満の原因としては、代謝系に作用する薬の副作用や不規則な生活習慣が考えられます。

特に統合失調症の人は偏った食事(偏食)や昼夜逆転の生活、部屋に引きこもり状態になっていることなど不規則な生活が長いため、肥満になる危険が高いといえます。

自己チェックリスト

肥満になりやすい習慣について下記に記載します。
当てはまる項目が多いほど注意が必要です。

  • 毎食お腹いっぱい食べる
  • 他人より食べるスピードが早い
  • 外食やコンビニ弁当が多い
  • 野菜はあまり食べない
  • お菓子をよく食べる
  • お酒を毎日飲む
  • タバコを吸う
  • 夜更かしすることが多い
  • ストレスが溜まっている
  • 日ごろから運動不足

肥満はそのままでいい?

肥満になっても、すぐには症状は現れません。
しかし、肥満をそのままにしておくことは危険です。

肥満をそのままにしておくと、将来的に動脈硬化や糖尿病を引き起こす原因となるからです。結果的に寿命を縮まることになります。

統合失調症の人は、規則正しい生活をおくることも大切な治療です。
統合失調症の治療のひとつとして肥満の改善にも取り組んでみましょう!

肥満の改善方法

肥満を改善するには生活習慣を見直す必要があります。

いきなり生活習慣を変えることは難しいかもしれません。
しかし何事も始めるのに大変なのは、はじめの一歩です。
最初は小さなことからでいいので、少しずつ生活習慣を変えていきましょう!

食事と運動、日常生活の改善について下記に記載しています。
自分がはじめやすい事からやってみて下さい。

ただし、無理なダイエットや過度の運動には注意が必要です。
統合失調症の症状がでている状態で無理をすると治療に悪影響を及ぼす可能性があります。
優先すべきは統合失調症の治療です。
焦る必要はないので、ゆっくり少しずつ取り組んでみましょう。

①食事の改善

最も重要なのが食事の改善です。

1日1回などまとめて食べるのはやめましょう。
特に夜にドカ食いすると寝るまでの時間が短いため、摂取したエネルギーが消費されずに脂肪として蓄積されてしまいます。

1日3食規則正しく、なるべく決まった時間に食べましょう。
野菜や魚などのバランスのとれた食事を食べることも大切です。

また食べるときは、ゆっくりとよく噛んで食べることで、満腹中枢が刺激されます。
15分以上時間を食事にかけるのが、理想的です。

お菓子やコーラなどの砂糖を含んだ清涼飲料水は、なるべく控えましょう。

飲酒する際にはアルコールのカロリーだけでなく、おつまみのカロリーも考えなければいけません。
知らないうちに高カロリーになっている場合があります。

ちなみにアルコール1gは約7kcal、ビール350mlは約150kcal、ワイン1杯は約100kcal、日本酒1合は約200kcalです。

②運動の改善

適度な運動を心がけましょう。
自分にあった方法でいいので継続していきましょう。

具体的には

  1. 10分程度の散歩をする
  2. エレベーターやエスカレーターは使わず、階段を使う
  3. 有酸素運動をする(水泳やジョギングなど)
  4. 筋トレをする

適度な運動をすることで、気分がスッキリするなど気分転換にもなるはずです。

ただし過度な運動や無理に運動するのは、やめておきましょう。

特に陰性症状がでているときなど運動するのが難しいときには、まずはしっかりと休みましょう。

③日常生活の改善

夜更かしをせずに、規則正しい生活をするようにしましょう。
また、ストレスを溜めないように生活する、もしくは適度にストレスの発散をするようにしましょう。

統合失調症の治療においても、十分な睡眠時間をとることやストレスを溜めない生活を送ることは大切な事です。

 

今回は統合失調症と肥満との関係についてでした。
治療してから体重が増加してきて心配な人やこれから瘦せたいと思っている人達の役に少しでも立てたら嬉しいです。

統合失調症を学ぶのにおすすめの本を一覧にしました。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」