治療

病院を受診してもらうための家族の対応ー説得する会話のポイントは?

病院を受診してもらうためにはどうしたらいいのか。

この記事は家族を受診させたいが、説得できずに困っているという人に向けて書いた記事です。

統合失調症は早期発見と早期治療が重要です。

なぜなら、早くに治療を開始できれば、症状を軽くできる可能性が高いと言われているからです。
治療を開始するのが遅くなると、その分回復するまで時間がかかります。
その為、特に発病してから最初の5年(前駆期)が重要と言われています。

当時の僕は統合失調症についての知識もなく、病院を受診させることができませんでした。僕と同じような苦労をしないように、これから受診させたいと思っている人たちに向けて、止めておいた方がいい受診の仕方(後々わだかまりを残すため)と受診してもらうための対応について書いています。

止めておいた方がいい受診の仕方

  • ウソをついてだまして連れていく
  • 何も説明せず連れていく
  • 脅迫・恐喝をして連れていく
  • はれものにさわるように対応をする
  • 感情的に命令口調で連れていこうとする

上記の方法ではたとえ病院を受診できたとしても、症状が落ち着いたときに「あの時は騙された!」と強い不信感を持ち、後々までわだかまりを残すことになります。

受診をしてもらうための対応について

  • 心配している気持ちを伝える
    あなたのことが心配だから、一度病院を受診してほしいと伝える。
    「私が心配だから受診してほしい」と言うなど、相手に心配している気持ちが、しっかり伝わるように話してみて下さい。
    家族から「様子がおかしい」や「病気だよ」と言われるより、家族から「○○(統合失調症の人)のことが心配なんだよ」と言われた方が本人も受診しやすいと思います。

 

  • 焦らず粘り強く説得をする(1~2日置きに1回くらい)
    無理に説得するのではなく、「症状(不眠など)がきっと良くなるから、相談しにいってみよう」など気持ちが伝わるように話してみて下さい。
    本人が行くのを拒否した場合はしつこく言わず、いったんひいて、別の日にもう一度伝えるなど日をあらためて話しをすることをおすすめします

 

  • 本人の話を最後まで遮らずに聞く
    統合失調症の人は会話が飛んだり、しゃべりたい内容がまとまらず上手く会話ができないことがあります。
    話しを途中で遮ったりせずに、最近かわったことがないか不安はないかを最後まで聞いてあげてください。
    また、オウム返し(相手の言葉を繰り返す)をすることで、統合失調症の人も自分の話を聞いてくれていると思ってくれます。他には具体的に「どんなふうに?」「どんな感じに?」「どんなところが?」など質問してあげることもいいと思います。
  • 治療すれば症状が改善することを丁寧に説明する
    不眠や食欲不振、不安、緊張などの症状は薬を飲めば改善する可能性が高いです。そのため、「薬を飲めば眠れるようになるよ」「治療すればきっと良くなるよ」などポジティブな情報を加えて丁寧に説明しましょう。

統合失調症は早期治療がその後の経過を左右しますが、最初に受診するまでが難しいケースが多い病気でもあります。
その原因は、統合失調症の人の多くが、自分は病気ではないと思っているためです。
病気になっている自覚症状がないため、病院へ連れて行くのが難しいケースが多いと言われています。

統合失調症の症状である妄想や幻聴も、本人にとっては現実におこっていることであり、それが病気の症状だとは思わないのです。
その為家族に病院を受診するように言われても、病院を受診することを拒否する傾向にあります。

本人に病気の自覚症状がない場合は、「○○(統合失調症の人)のことが心配だから、家族のために受診してほしい」「今の○○を見ているのはつらい。みんな心配してるよ。苦しい症状がきっと良くなるから、一緒に相談しにいこうよ」など家族が心配している気持ちをしっかり伝えることです。
家族が心配していることが伝われば、しぶしぶかもしれませんが、受診してくれるはずです。

 

下記には僕の経験を記載します。

僕の父親は「俺(父親)は病気ではない」と言って、精神科病院を受診することを拒否していました。当時は統合失調症に対する知識もほとんどなく、父親を連れて行こうとしても、お互いが感傷的になって話し合いにならなかったため、説得はうまくいきませんでした。

最終的に階段から落ちた怪我が原因で入院したことがきっかけになり、別の病院(精神科外来のある精神科病院)を受診し、入院することになりました。
最初に怪我で入院した病院(以下A病院)は精神科外来しかなかったため、精神保健福祉士の方に相談し、入院できる病院(以下B病院)を紹介してもらいました。
(詳しくはプロフィールに記載してます。興味のある方はそちらを参照してください。)

B病院を受診する前に何度かB病院の看護師さんと連絡を取り、父親の症状や入院させて治療を受けさせたいことを相談しました。
実際にB病院を受診した時に、先生の方からも「入院して治療をうけた方が家族も安心しますよ」と、説得してもらいました。
ただ、この時の失敗としては、父親が「入院させられた」と強く感じてしまったことです。

これは受診することを何度も強く言ったこと、外来受診だけと言って連れて行ったが、入院することになってしまったことが原因だと思います。後々までわだかまりを残すことになりました。
すぐに受診させたい気持ちが先走ってしまい、父親の気持ちを考えてあげることができていなかったです。
騙すような形で受診させるのではなく、もっと僕も家族も心配だし、受診して治療を受ければ症状が良くなることを父親に説明するべきでした。

 

僕の父親のように統合失調症の人の中には自覚がない人が多く、受診自体を拒否することが多いようです。
受診をさせたいが、本人がどうしても受診を拒否する場合や家族だけでは対応できない場合には、お住いの地域の保健所や精神保健福祉センターへ相談してみて下さい。
保健所や精神保健福祉センターの検索は困った時の相談場所一覧から調べてられるようにしてあります。そちらを参照してください。

また、症状が強く自傷行為や他の人を傷つける危険性があり、やむを得ない場合には強制的に入院させることもできます。詳しくは統合失調症の人の入院について(探し方・入院形態・病棟の特徴)を参照してください。

今回は病院を受診をしてもらうためにはどうしたらいいのかについてでした。
家族を受診させたいが、説得できずに困っているという人の役に少しでも立てれば嬉しいです。
下記に僕が受診してもらうための説得ポイントについて調べた際に、参考になった本を紹介しておきます。
他のおすすめ本についてもわかりやすいように、一覧にしています。おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

マンガでわかる!統合失調症 家族の対応編

治療していくうえで家族の接し方が、とても重要なことだと学ぶことができた最初の本です。
内容は統合失調症の人と家族のそれぞれの思いの違いからおこる気持ちのすれ違いについて、マンガで分かりやすく学ぶことが出しました。
この本を読んでから、統合失調症の父親と会話するときは、父親の言うことを最初から否定したり、聞き流したりするのではなくきちんと聞くようにし、僕の考えがちゃんと伝わるように、伝え方を工夫するように意識するようになりました。
「統合失調症の人の気持ちがわからない」「どう接していけばいいのかわからない」人におすすめの本です。

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統合失調症の人の気持ちがわかる本

この本は、統合失調症の人とその家族のアンケートをもとに書かれており、統合失調症の人の本人談がいくつも書かれています。
統合失調症の人の気持ちと家族の気持ちの両方が書かれているので、共感できる部分が多いと思います。
統合失調症の人がどんなことに悩んでいるのかを知りたい人に、おすすめの本です。

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同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」