この記事では統合失調症の家族がいる人にむけて、統合失調症をみてくれる診療科や入院形態(任意入院・医療保護入院・措置入院・応急入院)と病棟の特徴(開放病棟・閉鎖病棟・隔離室)について説明しています。
この記事を読むことで受診させる診療科や強制的に入院させることのできる入院形態、病棟の特徴について知ることが出来ます。
幻聴や妄想などの症状がある家族をどの診療科を受診させたらいいのかわからない人や統合失調症の人の入院について知りたい人の役に少しでもたてたら嬉しいです。
受診する診療科について
統合失調症の治療を始めるには、精神科医のいる病院を受診する必要があります。
統合失調症をみてくれる診療科は以下の通りです。
統合失調症をみてくれる診療科
- 精神科
- 精神神経科
- 神経科
- メンタルヘルスケア科
- 心療内科
精神的要因であらわれた身体的症状を診てくれる診療科。
例:気管支喘息や過敏性腸症候群など
ただし、うつ病や不眠症など一部の心の病気を診ているところもあります。 - 神経内科
主に脳や脊髄などの体の病気を診ている診療科。
例:パーキンソン病や認知症や脳梗塞など
※受診するのが不安な場合は、直接電話をして確認してみましょう。
受診する医療機関のメリットとデメリットについて表にまとめてみました。
入院は入院施設のある精神科病院か一般病院か総合病院になります。
メリット | デメリット | |
精神科病院 | 精神科の専門病院。 退院後の作業療法やデイケアなどのプログラムもしっかりしている。 |
郊外にあり交通の便が悪い場合が多い。 昔ながらの質の悪い医療体制のままのところもある。 |
一般病院・総合病院 | 精神科以外の診療科もあるため総合的な医療を受けることができる。 | 主治医が転勤などで変わることが多い。 慢性期の入院はしづらい。 |
クリニック・診療所 | 交通の便が良く、夜間も診察していることが多い。 | 入院施設がない。 作業療法やデイケアなどのプログラムの選択肢が少ないことが多い。 |
すでに通っているクリニックや診療科があれば、主治医に相談し入院できる病院を紹介してもらうのが良いと思います。
しかし、自分だけで入院する病院を探すのは大変なので、保健所や精神保健福祉士センターなどで相談してみて下さい。
どこに相談すればいいかわからない場合は、困った時の相談場所一覧を参照してください。各ホームページからお住いの地域を選択し、相談場所が探せるようになっています。
また、いくつか病院を紹介された場合は、自分で詳細を調べるのが良いと思います。見学を実施している場合は一度行ってみると、職員と患者のやり取りや患者同士の雰囲気を感じることができるのでおすすめです。
下記には僕の経験を記載します。
僕は父親を入院治療させたいと思い、家から近いところで、受け入れてくれるところはないか自分で探しましたが、なかなか見つかりませんでした。
(当時は保健所や全国精神保健福祉センターで、相談できることを知らなかったため、ネットでひたすら検索していました。)
そんなとき、父親が怪我をして入院した病院に偶然にも精神科があり、精神保健福祉士の方に相談することができました。家での症状や入院して治療してもらいたいが、入院できる病院が見つからなくて困っていることを正直に伝えました。その後、入院病棟がある精神科病院を紹介してもらうことができました。
(父親が怪我で入院した病院は精神科の外来しかやっていなかったため、入院病棟があるところを紹介してもらいました。詳しくはプロフィールに記載してます。興味のある方はそちらを参照してください。)
入院形態の種類について
精神科の入院は主に4種類あります。
それぞれの特徴について一覧にしたので、参考にしてください。
いずれの場合も入院の形態や入院の必要性について、文章で医師からきちんと説明されます。
また、入院中は電話や手紙、面会などは基本的に自由に行え、主治医の許可があれば買い物に外出できる場合もあります。
入院する人の権利は精神保健福祉法により守られており、行動の制限や隔離は治療のために必要な場合にしか行ってはならないことになっています。
入院形態についての一覧表
種類 | 特徴 |
---|---|
任意入院 | 医師の説明を受けて本人が入院に同意し、本人の意思で入院すること。 任意の入院のため、本人の希望があればいつでも退院出来る。 ただし、精神保健指定医が継続的な入院が必要と判断した場合、72時間の退院制限をかけることができる。 その間に、今後の治療について家族と相談をし、医療保護入院をさせることもある。 |
医療保護入院 | 精神保健指定医が必要と判断した場合に、本人の同意ではなく、家族等の同意で入院すること。 (家族等とは、配偶者・親権者・扶養義務者・後見人または保佐人のこと。) 一人でも同意すれば、強制的に入院させることができる。 |
措置入院 | 自殺の恐れや他人に危害を加える危険性が高いときに、本人や家族の同意がなくても、2名の精神保健指定医が、入院の必要があると判断した場合に、知事や市町の権限で強制的に入院させること。 措置入院の費用の自己負担分は、公費になる。 |
応急入院 | 身元や家族の所在などが不明で同意が得られない場合で、精神保健指定医が緊急の入院が必要と判断した場合に72時間に限って強制的に入院させること。 |
精神保健指定医について
精神保健指定医とは厚生労働大臣から指定された、精神保健福祉法で定められた条件を満たした医師のこと。詳しくは厚生労働省の精神保健指定医を参照してください。
入院病棟の特徴について
入院する病棟にも特徴があります。
それぞれの特徴について一覧表にしました。
種類 | 特徴 |
---|---|
解放病棟 | ほかの診療科の病棟と同じように、患者も自由に出入りができる。 病状が比較的重くない人、任意入院する人が入院する病棟。 ただし、安全上の理由から、夜間など一定の時間帯は出入口を施錠している場合もある。 |
閉鎖病棟 | 患者の出入りの自由が制限される。 治療を拒否する人や症状が重い人、判断能力が不十分な状態の人、医療保護入院や措置入院の人が入院する病棟。 |
隔離室(保護室) | 外からの刺激を遮断することによって心身の安静をはかるための部屋。 自殺の可能性や器物破損など自分の行動をコントロールできない人が一時的に入る。 実際に自殺などの危険性が高いと判断された場合には、一時的に身体拘束が併用されることもある。ただし、改善が認められれば、ただちに解除される。 |
下記には僕の経験を記載します。
僕の父の場合は、精神科病院の外来を受診した際に、先生から治療が必要なことを丁寧に説明してもらい、本人が治療する気持ちになってくれたので、とても助かりました。事前に看護師の方に症状や入院治療をさせたいことなどを伝えていたのも、よかったと思います。
入院する際にも主治医となる先生から、入院して行う治療内容(服用薬について)のことや入院計画、患者の基本的権利について(不服申し立てについて)など丁寧に説明してくれました。父親も入院して治療することに納得し、任意入院することができました。
病棟は閉鎖病棟で、入り口がオートロックになっており、患者が自由に出入りできないようになっていました。ただし、家族への連絡は病棟の公衆電話から自由にかけることができました。
週末には必ず僕か家族の誰かが会いに行き、様子を見ていましたが、薬を飲んでいることで夜中に起きることが少なくなったことや幻聴が聞こえなくなったなど症状が改善していました。
僕や家族から見ても、会話中に感情が不安定になることもなくなり、良くなってきているのがわかりました。ただ、入院して少したつと父親が家に帰りたがり、入院治療を続けるように説得するのが大変でした。
僕は「入院して治療をうければ、きっと今より症状が良くなるよ」、「治療の途中で帰るとまた症状がでてくるかもしれないし、最初に先生から説明があった期間は入院して治療を受けてほしい」などなるべく優しく伝えるようにしました。
しかし、時には口論になってしまうこともありました。もしかしたら治療のさまたげになっていたかもしれません💦
治療については統合失調症の治療はどんなことをするの?①薬物療法と統合失調症の治療はどんなことをするの?②リハビリテーション参考にしてください。
今回は統合失調症の人が入院する病院の探し方、入院形態(任意入院・医療保護入院・措置入院・応急入院)と病棟の特徴(開放病棟・閉鎖病棟・隔離室)についてでした。
少しでも役に立てれば嬉しいです。
下記に僕が統合失調症について調べた際に参考になった本を紹介しておきます。
他のおすすめ本も一覧にしてます。おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。
統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。
マンガでわかる!統合失調症
統合失調症の母親をもつ子供目線で書かれており、感情移入しやすかったです。
統合失調症について勉強するきっかけになりました。
イラスト中心のため読みやすく、文字ばかりの本が苦手な人や統合失調症についてこれから学びたいと思っている人におすすめの本です。
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読めば気持ちがす〜っと軽くなる
本人・家族に優しい統合失調症のお話 ココロの健康シリーズ
見開きページの左側は短い文章でポイントがわかるようにしてあり、右側で詳しく説明されています。
難しい専門用語を極力使っていないため、理解しやすく読みやすかったです。
長い文章を読むのが苦手な人や気軽に読みたい人におすすめの本です。
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ウルトラ図解 統合失調症 理解を深めて病気とともに歩む
統合失調症について詳しく書かれています。その分文字数も多いですが、オールカラーで図やイラストを使い、読みやすいように工夫されています。
初めて統合失調症について読む本としてはボリュームが多いとは思いますが、統合失調症についてしっかり学びたい人や統合失調症についての本を1冊読んでみて、もっと詳しく知りたいと思った人にはおすすめの本です。
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