生活・暮らし

統合失調症の暴力行為の原因と家族に出来る対応について

まず言っておきたいのは統合失調症などの精神障がい者が犯罪を起こすという偏見が世間には今もあります。
しかし統合失調症の人が犯罪などの事件を起こすのはごく一部であり、その犯罪率は統合失調症でない人の場合と同じということが統計上わかっています。
しかもそのごく一部の人は治療を適切に受けていないあるいは治療を自己中断してしまった人が多くを占めています。

確かに統合失調症の人は症状が悪化してくると暴力行為を家族にむけることがあります。

僕の父親も治療前は家族に対して暴力や暴言などがありました。

そのときにはどうやって対応していいのかわからず困っていました。

この記事は当時の自分と同じように家族の暴力や暴言などに困っている人達にむけて書いています。

今回の記事が暴力や暴言など暴力行為に困っている人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。

統合失調症の陽性症状(幻聴や妄想)がきっかけ⁉

統合失調症の急性期に注意

統合失調症の急性期には幻聴や妄想が現れます。

特に幻聴は多くの統合失調症の人が経験する症状です。

幻聴の内容は「お前は生きている価値がない」、「あいつを殴れ」、「アイツが殺しにくるぞ」など自分への悪口や命令系のものまで様々です。

他人には幻聴や妄想だとわかりますが、

統合失調症の人には現実に起こっていることです。

そのため自分への悪口には怒りを覚えるし、命令に従って自分や他の人を傷つけようとすることがあります。

暴力行為は症状悪化のサイン

暴力や暴言などの暴力行為は幻聴や妄想がきっかけになるため、薬をきちんと服用していれば症状を抑えることができます。

そのため暴力行為がでてきたら自己判断で薬を中断している可能性があります。

またアルコールの過剰摂取でも症状が悪化し、暴力行為に及ぶことがあります。

攻撃的になるのは自分のことを分かって欲しい欲求があるため

暴力や暴言は同居している家族に向けられ、若年層の多く見られます。

攻撃的になるのは「自分のことを分かってしてほしい」、「自分のことを理解してほしい」、「自分のことを受け入れて欲しい」などの欲求が根底にあり、それが叶わないと感じたためです。

具体的には本人が訴える幻聴や妄想に対して「そんなことはない」、「何を馬鹿なことを言っているんだ」など頭ごなしに否定することです。

統合失調症の人は分かってもらえない焦りや不満から暴力や暴言など攻撃的になってきます。

暴力行為があった時の家族の対応

まず覚えておいてほしいのは身の危険を感じた場合はすぐに警察に連絡するということです。

刃物を持ち出すなど警察の助けを借りないと対応できない場合があります。

警察では興奮状態の本人もしくは家族を一時的に保護してくれます。

このことが精神科病院への入院治療のきっかけになる場合もあります。(措置入院)
措置入院については下記の記事を参考にしてください。

統合失調症の人は自分の気持ちを抑えることが苦手です。
そのため「自分のことをもっと分かってしてほしい」という気持ちから暴力行為におよぶことがあります。

しかし暴力や暴言には、はっきりと「それはいけない」と注意しましょう。
この時出来るだけ本人を刺激しないようにします。
暴力行為がみられるとき統合失調症の人は興奮状態にあるため、一緒になってこちらも興奮しないように落ち着いて本人の言葉に耳を傾けるようにしましょう。
統合失調症の人気持ちに共感してあげると「自分のことを理解してくれた」、「自分のことを受け入れてくれた」と感じ落ち着きを取り戻してくれます。

暴力や暴言などの暴力行為がみられ危険を感じたら一度その場から逃げてしまいましょう。
一度家を出るか別の部屋に移動するなど距離と時間をおくことで、お互いに冷静さを取り戻すことができます。

暴力行為もいきなり起きるのではなく、予兆があります。
予兆としては「不眠」や「最近イライラする」、「幻聴が聞こえる」などの症状がでてきます。

このサインを見逃さず、早い段階で担当医師に相談することで未然に防ぐことができます。

暴力行為は特に治療を受けずにいる人で幻聴や妄想がある人に多い傾向があります。
この場合本人に統合失調症の病識もないため病院に連れて行くのも難しいため対応に苦慮します。
もし通院していなければ一度保健所などに相談しておきましょう。
相談したことがあるのとないのとでは、その後警察を頼ることになった時の対応が変わってきます。

下記は僕の経験を記載します。

治療前父親には幻聴や妄想の症状がありました。
薬も自己判断でやめてしまっていたため段々と症状が悪化し、家族に対して暴力行為を行うようになりました。
最終的には警察を呼ぶこともありました。

当初は僕自身、統合失調症のことについてほとんど知らず、父親が興奮して言った暴言に対して、一緒になって興奮して言い返していました。
そのため、怒鳴りあってケンカのようになることが多かったです。

その後、現状を変えたくて統合失調症のことについて調べるにつれ、今までの接し方ではいけない、接し方をかえないといけないことに気が付きました。

まずは、対立や言い合いを避けるために怒りを抑えて、父親の話を聞くことから始めました。
しかし最初はなかなか上手くいかず、つい言い返したりしてしまいました。

その後父親の暴言に対し、我慢できない時には「お父さんとケンカはしたくないから後でまた話そう」と言って一度部屋をでて、時間をおくようにしました。
可能な時は外に一度出て、散歩をして自分の気持ちを落ち着かせています。
時間を少しでもおくことで自分だけでなく、父親も少し落ち着いていたので時間をおくことはお互いにとって良い方法でした。

今は症状が薬を飲むことで抑えられ興奮することが、すごく減りました。
しかし、体調の悪い日もあるため、今も試行錯誤しています。

今回は統合失調症の暴力行為の原因と家族に出来る対応についてでした。

最初は1人で何とかしようと思っていましたが、周りの人を頼った方が解決方法が早く見つかることを実感しました。
もし家族の暴力や暴言で困っている人は保健所などの施設、精神科医師や精神保健福祉士などの専門家にまずは相談してみましょう。
相談先は下記を参照してください。地域の相談場所を検索できるサイトを一覧にしています。
困った時の相談場所一覧

今回の記事が暴力や暴言など暴力行為に困っている人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。

統合失調症を学ぶのにおすすめの本を一覧にしました。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」