生活・暮らし

タバコとコーヒーとお酒と統合失調症の関係-上手な付き合い方

この記事では統合失調症と依存性の高いタバコやコーヒー、お酒との関係について書いています。

統合失調症の人は適量を摂取するのが、苦手で過度に取り過ぎる(依存する)傾向にあります。

タバコやコーヒー、お酒はいずれも不安をやわらげたりするメリットがある一方で、取り過ぎると体に悪影響がでてしまいます。

無理にやめることはありません。それぞれのメリットとデメリットを理解し、上手に付き合っていきましょう。

 

タバコやコーヒー、お酒に依存してしまうのはなぜか?

タバコ→ニコチン

タバコを吸うことで血中のニコチン濃度が上昇します。
ニコチンは中枢神経に作用し、神経伝達物質を分泌すると言われています。
この分泌物により快楽を感じることができ、「落ち着く」「ホッとする」といったことにつながります。

しかし、血中のニコチンが少なくなると体はニコチンを欲してしまいます。
いわゆる「ニコチンがきれた」状態です。
この状態になるとタバコを吸いたくなり、吸うと一時的に落ち着き、また時間がたつと吸いたくなるといった悪循環に陥ります。
その結果、タバコへの依存が大きくなるのです。

また、統合失調症の人はタバコのニコチンによる「落ち着く」「ホッとする」といったことに加えて、人とのコミュニケーションの際に間を持たせることや孤独感を紛らわせるために吸う傾向があります。

コーヒー→カフェイン

カフェインがアデノシンの動きを阻害することで眠気が覚めてスッキリしたり、不安が和らいだりします。

ただし、カフェインは摂取することでだんだんと効果が効きにくくなってきます。

そのため、コーヒーを飲む量がだんだん増えてしまいます。
その結果、カフェインの依存が大きくなるのです。

お酒→エチルアルコール

お酒に依存してしまう原因は、アルコールに含まれるエチルアルコールです。
アルコールの主成分のため、お酒を飲むほど依存してしまう傾向にあります。

タバコを吸い過ぎるとおきる体への影響と上手な付き合いかた

体への影響

ニコチンは吸収が早く吸い始めるとすぐに血中濃度が上がりますが、体から消失するのも早く、普段から吸っている喫煙者では約30分ほどで「ニコチンがきれた」状態になってしまいます。

タバコに含まれる物質は多く、中には発がん物質も含まれています。
タバコを吸うと肺に到達し、肺から血液を通じて、発がん物質は全身に運ばれてしまいます。
発がん物質が細胞のDNAを傷つけることは、がんの原因になりえます。

また、発がん物質は肺や血管を傷つけます。その結果、呼吸器機能が低下したり、動脈硬化が進行する危険性があります。

タバコとがんの因果関係を研究した報告書によると肺がんや鼻腔・咽頭がんなど多くのがんに科学的観点からも因果関係を認めたと報告されました。
参考:「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書(平成28年8月)」厚生労働省2016年

上手な付き合い方

統合失調症の喫煙率は、統合失調症ではない人に比べ高いと言われています。(約2倍の喫煙率)

まずは1日にどのくらい吸っているのか確認してみましょう。
1日の本数がわかれば月にどのくらいタバコを吸っているか、いくらタバコにお金を使っているのかがわかります。

そのうえで1日に吸う本数を決めたり、1か月に使う金額を決めてみましょう。
そうすることでタバコを吸い過ぎることがなくなると思います。

また、副流煙が気になる人もいるため、タバコを吸う際には喫煙所で吸ったり、ベランダで吸うなど周りへの配慮も必要です。

禁煙を無理にする必要はありませんが、上限を決めて適度に楽しみましょう。

1日1箱(20本)以上吸う人はヘビースモーカーと言われています。
特にがんなどの体への影響が高いので注意が必要です。

コーヒーを飲み過ぎるとおきる体への影響と上手な付き合いかた

体への影響

カフェインは適量であれば良い効果を体に与えてくれます。

覚醒作用-眠気を抑えて集中力が高まります

鎮痛作用-一時的に血管収縮作用があるため、頭痛などが緩和されます。

疲労回復-血流の流れが良くなるため、体内に疲労物質が溜まりにくくなります。

一方でカフェインは過剰摂取により体に悪影響を及ぼします。

カフェイン中毒

症状

心拍数の増加(不整脈)

肌への影響(シミなど)

吐き気や下痢

不眠

冷え性の原因など多岐にわたります。

また、中毒がさらに進むと意識障害など危険な状態になる場合もあります。

 

カフェインを日常的に摂取していた人が急にやめた場合、カフェインの離脱症状が現れます。

カフェインの離脱症状

頭痛

激しい疲労感や眠気

集中力の欠如

離脱症状はカフェインを取った後12-24時間後に始まり、24-48時間後にピークを迎えます。
この離脱症状は2~9日間続きます。

離脱症状がでないようにするには、急にカフェインの摂取をやめるのではなく1週間~2週間かけて徐々にカフェインの摂取量を減らしていくことです。

上手な付き合い方

カフェインの効果は最低8時間は続きます。
そのため、眠る8時間前にコーヒーを飲むことは止めておきましょう。

適量と言われるのは1日に400mg未満です。
これは缶コーヒー(80~170mg)2~4本になります。
ただし、カフェインは紅茶などにも含まれるため、それらも含めて400mgを超えていないか確認する必要があります。
5本以上缶コーヒーを日常的に飲んでいる人は、一度1日に摂取しているカフェイン量を計算してみましょう。

お酒を飲み過ぎるとおきる体への影響と上手な付き合いかた

体への影響

お酒は少量であれば気分の高揚など幸福感を得られるメリットがあります。
しかし、飲み過ぎると暴力性が高めるため、普段から暴力性の症状が高い人は飲まない方が良いでしょう。

また、大量の飲酒が日常化しているとアルコール依存症になる可能性があります。

アルコール依存症はアルコールの飲み方を自分でコントロールできなくなってしまった状態です。

具体的には、ほどほどにしよう(飲み過ぎはよくない)と思っていても飲み過ぎてしまう、飲んではいけない状況でも飲んでしまう、体調が悪いのに飲み過ぎてしまうなどです。

アルコールを取り過ぎると、アルコール性肝炎や脂肪肝、膵炎、高血圧や糖尿病をおこす原因になります。

また、大量の飲酒はがんとも因果関係があることが分かっています。
参考:国立がん研究センター予防研究グループ 飲酒と総死亡・かん死亡との関連

アルコール依存症の人は血中のアルコールが低くなってくると以下のような離脱症状が出てきます。

アルコールの離脱症状

手や足など全身の震え

多量の発汗(特に寝汗)

不眠

吐き気や嘔吐

高血圧や不整脈

イライラ感や不安感

幻覚や幻聴など

アルコール依存症を治すには専門の病院への受診が有効です。
特に入院治療することで断酒出来る可能性が高くなります。

上手な付き合い方

1日に適量な量は純アルコールで20gです。

具体的にはビール1本(中瓶500ml)、日本酒1合、25度焼酎100ml、ワイン2杯(200ml)です。

適量の3倍以上(純アルコールで60g以上)は多量飲酒と言われており、アルコール依存症になる危険性が高くなるので注意が必要です。

 

以下に僕の経験を記載します。

僕の父親はタバコとコーヒーに依存する傾向にあります。

治療前はコーヒーを1日に何杯も飲んでいて、カフェイン依存症だったと思います。

入院治療後は過度にとることはなくなりました。しかし、タバコは今も1日10~20本は吸っています。特に不安な気持ちになるとタバコの量が増える感じがします。

家族としては体への影響が心配なので少し減らしてほしいですが、禁止にすることは考えていません。

本人が適度に楽しめるならいいかなと思っています。

 

今回は統合失調症と依存性の高いタバコやコーヒー、お酒との関係についてでした。
少しでも役に立てれば嬉しいです。

下記に僕が今回の記事を書くために調べた際に、参考になった本を紹介しておきます。
統合失調症を学ぶのにおすすめ本についてもわかりやすいように、一覧にしてます。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」