統合失調症になった時の治療について
②リハビリテーション
この記事では統合失調症の治療の一つであるリハビリテーションについて今後統合失調症の治療を受ける人、統合失調症の治療について興味のある人、リハビリテーションについて詳しく知りたい人向けに書いています。
この記事を読むことでわかること
- リハビリテーションの種類について(精神療法・作業療法・SST)
- デイケア・地域活動支援センターについて
まず、統合失調症の人の治療の基本の柱となるのは以下の2つです。
- 薬物療法
- リハビリテーション
統合失調症の治療は薬物療法とリハビリテーションを組み合わせながら行います。
どちらか一つでは、再発リスクが2つを組み合わせて治療した時よりも、高くなってしまいます。
そのため、どちらも組み合わせて治療していくことが重要になります。
下記で詳しく説明します。参考にしてください。
①薬物療法については統合失調症の治療はどんなことをするの?①薬物療法を参照してください。
②リハビリテーションについて
リハビリテーションは、生活のしづらさ(生活障害)を改善することを目指して行います。
薬物療法によって、症状はある程度抑えることができますが、認知機能の低下から集中力が続かなかったり、考えをうまくまとめられないなどの「生活のしづらさ(生活障害)」は薬の服用では改善しません。
リハビリテーションを薬物療法と併用することで、再発のリスクを下げることができます。ゆっくりでいいので、焦らず少しずつやってみましょう。
家族は先を急ぎ過ぎないようにして、今出来ることに目をむけて下さい。
今までできなかったことが出来るようになるのは、ささいなことでもすごいことです。
しかし、次を求めすぎると本人には重荷になることがあります。
本人のペースに任せて見守りつつ今出来ることに目を向けて褒めたり、感謝の言葉を伝えてあげてください。ひとつひとつはささいなことでも、本人の自信になります。
リハビリテーションの種類について
- 精神療法
統合失調症の人が感じる不安や悩み、心配事などについて医師が一緒に考えて、どうしたらいいのか解決の糸口を見つけていくカウンセリングの一種になります。
医師とのコミュニケーション(会話)を通して、統合失調症の人の精神の安定をはかり、精神的に自立できるように、サポートすることを目的としています。
この治療は医師との相性がとても大事になります。
- 作業療法
主な内容はレクリエーション(室内ゲームや散歩など)、室内作業(袋詰め、造花づくりなど)、屋外作業(農作業、園芸など)があり、医師と作業療法士が患者の症状に合わせたものを取りいれていきます。
例:コミュニケーションが苦手
→室内ゲームや農作業を通して、ほかの人と交流や共同作業をすることで、協調性や対人関係を学ぶことができる。あくまでも本人が楽しくやることが大切です。
イヤイヤやることはストレスになるため、楽しくできないことは医師や作業療法士の人に遠慮せずに、相談してみましょう。
- SST(生活技能訓練)
日常生活の中で、統合失調症の人が困りそうなことを、具体的に想定しながらどのように対応すればいいか、グループで話し合いながら練習します。
SSTで学んだことは日常生活でもやってみましょう。
練習を繰り返すことで、普段の生活でも自分で対処できるようになってきます。
SSTでは下記のようなことを学びます。
SSTで学ぶこと | |
---|---|
日常生活技能の練習 | お金を自分で管理して買い物をする、掃除や洗濯するなど |
対人関係の練習 | 人との付き合い方やふるまい方などを具体的に想定して練習する 例:疲れた時に何か頼まれた場合の対応など 質問役と回答役に分かれて両方の役をやって理解を深めていく。 |
病気の自己管理 | 服用の管理や薬の副作用についてなど |
症状が落ち着いてきてから、少しづつ始めてみましょう。
焦りは禁物です!
自分に合ったリハビリテーションを、無理をしない範囲で続けることが大切です。また、楽しくおこなえることが、長く続けるためには重要になってきます。
出来なかったことより、楽しくできていたかの方が大事です。
自分のペースで休みながら、少しづつ取り組んでいきましょう。
リハビリテーションをおこなえる場について
統合失調症の人は退院後、家に閉じこもってしまうことが多くなります。
いきなり社会復帰するのは難しいと思いますが、社会復帰に向けてデイケアや地域活動支援センターを利用してみましょう。
まずは家族や病院の職員と見学してみるのが良いでしょう。
家族は行くように強くすすめないようにしましょう。本人が行きたくないのに無理して行かせようとすると言い合いになってお互いにイライラすることになります。
ずっと家にいるのが心配な場合には、まずは見学を一緒に行くのが良いと思います。
下記でデイケアと地域活動支援センターについて詳しく記載します。
社会復帰に備えて利用したい場(リハビリテーションをおこなえる場)
- デイケア
同じ病気をもつ者どうしが交流し、悩みを話し合ったり、楽しく一緒に活動することで協調性などを学ぶことができます。
また、通ううちに定期的な生活リズムをつくるきっかけにもなります。
通うこともリハビリテーションの一環になります。デイケアは日中のサービス(日中6時間)ですが、ナイトケア(午後4時~午後8時)やショートケア(日中3時間)、10時間ケア(デイケアとナイトケアを合わせたサービス)があります。
状況や症状に合わせて最適なものを選ぶようにしましょう。場所は病院や診療所・クリニック、保健所、精神保健福祉センターで行われています。
場所選びには自宅から通える距離か、公共交通機関を利用して通えるか、最寄り駅から送迎バスがあるかなどを考えて決めると良いと思います。 - 地域活動支援センター
障害のある人の地域との交流の場や居場所として利用されています。
また、創作活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の場の提供を役割としていて、障害者が自立した生活や社会生活をおくることを支援する施設です。活動内容は各施設で異なります。
主に以下の3タイプに分けられます。
特徴 | |
Ⅰ型 | 精神保健福祉士などがおり、困ったことの相談や地域の医療機関や支援機関などとの連携のサポートをおこなう。 また、地域住民のボランティアの育成などもおこなっている。 |
Ⅱ型 | 簡単な機能訓練や社会適応訓練が主体になる。 また、入浴などのサービスも行っている。 |
Ⅲ型 | Ⅱ型とほぼ内容は同じだが、より実践的な生産活動をおこなう。 |
まずはデイケアを利用し、他の人とのふれあいから協調性を学んだり、規則正しい生活リズムを作ることことから始めてみるのが良いと思います。
下記には僕の経験を記載します。
僕の父親は作業療法やSST(生活技能訓練)には参加したくないと言っているので、担当医師とも相談し、今は精神療法を中心にしています。再発リスクを高めないようにするためにも僕や家族は参加したほうがいいと思っているので、僕ら家族との日常会話の中で作業療法やSSTについて父親に話したりしています。(練習内容について調べてみた事を話すくらいで、行くように強制したりはしないようにしています。)
今後、本人が興味をもてば一緒に行きたいと思っています。
今回は統合失調症になった時の治療について②リハビリテーションでした。
治療について学びたい人たちの役に少しでも立てれば嬉しいです。
下記に僕が統合失調症のリハビリテーションについて調べた際に、参考になった本を紹介しておきます。
他のおすすめ本についてもわかりやすいように、一覧にしてます。おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。
統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。
統合失調症の人の気持ちがわかる本
この本は、統合失調症の人とその家族のアンケートをもとに書かれており、統合失調症の人の本人談がいくつも書かれています。
統合失調症の人の気持ちと家族の気持ちの両方が書かれているので、共感できる部分が多いと思います。
統合失調症の人がどんなことに悩んでいるのかを知りたい人に、おすすめの本です。
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どうしたらいいの?「統合失調症」
統合失調症とはどんな病気かその症状や治療、周囲のサポートなどについて簡潔に書かれています。全95ページと他の本より薄いですが、その分読みやすく重要なポイントがまとめられています。統合失調症について知りたいが「時間がない」「何を読んだらいいのかわからない」という人にはおすすめの本です。本書を読んでもっと詳しく知りたいと思ったら、別の本を読むことにしてみたらいいと思います。
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同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」
- みんなネットhttps://seishinhoken.jp/profile
リンク先:みんなねっと(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会) - 全国きょうだいの会(略称)
https://www.normanet.ne.jp/~kyodai/index.html
リンク先:全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会