入院治療と退院(準備や目安)、外来治療(通院)について
この記事では、統合失調症の人の入院治療(メリットとデメリット)と退院するまでの準備や退院の目安と外来治療(通院)について書いています。
入院治療について
入院治療が必要な場合は以下のような場合です。
入院治療が必要な場合
- 幻覚や幻聴など症状が強く、他人を傷つける可能性がある場合
- 家族と一緒にいると強いストレスを感じ、食事や睡眠が十分にとれずに衰弱しているとき
- 生活リズムが乱れて薬の服用や自宅での療養ができていないとき
- 自分自身を傷つける可能性があるとき
- 入院治療が必要な身体の疾患があるとき
- 家族が疲れきってしまい、サポートができなくなったとき
入院して治療を受けることでのメリットとデメリットについて
実際に入院して治療を受けることのメリットは、以下のようなことがあります。
入院して治療するメリット
- 静かな環境でゆっくり休むことができる
- 集中的に治療ができ、薬の副作用にも迅速に対応してもらえる
- 規則正しい生活を送ることができる
- 他の患者との交流ができる
- 家族も休むことができる
逆に、入院治療するデメリットは以下のようなことがあります。
入院して治療するデメリット
長期入院による生活力や社会性の低下(生活のしづらさの増加)
退院するまでの準備について
家族の人達は、統合失調症の人が入院して治療をしている間に、まずはゆっくりと休んで気持ちを落ち着かせましょう。
僕もそうでしたが、父親が入院治療するまでいろんなことがあり、心がすり減っていました。正直、他のことを考える余裕がありませんでした。退院後のことを考える前に、家族の人達も心を休ませましょう。
治療を受けることで、すぐに良くなることを期待するかもしれませんが、家族も含めて回復までを、焦らないことが大事です。
少しづつでいいので一歩ずつ進めていきましょう。
退院までの準備としては、主に以下のことがあります。
退院するまでの準備
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薬の自己管理の練習
自己判断による薬の中断は再発リスクが高まる原因になるため、決まった時間に服用する習慣をつけます。
薬の自己管理が難しい場合には、家族の手助けが必要です。もしくは注射剤(デポ剤)で治療できないか担当医師に相談してみるのもいいと思います。注射剤(デポ剤)や他の治療薬については統合失調症になった時の治療について①薬物療法を参照してください。
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家族や職員との外出や外泊をしてみる
施設の近くのスーパーなど家族や職員に、付き添いをしてもらい外出してみたり、自宅に1日帰り落ち着いて生活できるかを確認します。
もし自宅にいるときに落ち着きがない場合は、担当医師に相談してください。
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退院後の通院について相談する
どのくらいの頻度で通院するのかを、担当医師と相談しましょう。
入院時に担当してくれた医師が、引き続き外来でも診察してもらえるのかも確認しましょう。(大学病院などでは転勤もあるため)
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地域のサポートサービスについて調べておく
入院施設に相談窓口があれば、退院前に相談しましょう。また、役所や保健所などでも相談にのってくれますので、活用しましょう。
相談場所や活用できるサービスについて以下の記事にまとめたので参考にしてください。
困った時の相談場所一覧
社会制度と行政サービスについて
退院の目安について
任意入院の場合は、原則として本人が退院したいといえばいつでも退院できます。
ただし、精神保健指定医が継続的な入院が必要と判断した場合72時間の退院制限をかけることができます。
詳しくは統合失調症の人の入院について(探し方・入院形態・病棟の特徴)を参考にしてください。
任意入院以外の統合失調症の人の退院の目安は、次のような場合です。
※あくまでも目安で最終的には医師の判断になります。
- 症状が落ち着いて、自宅で生活できるくらいに軽くなった
- 薬の副作用がなく自分で服用ができ、定期的に通院できる
- 退院後の生活に家族のサポートが受けられる環境である
- 再発のサインがあらわれたときに自覚ができ、医療機関への相談ができる
- 自傷行為や他人を傷つける行為のおそれがほぼ解消された
外来治療(通院)について
現在は外来治療(通院)が主流になっています。
その理由としては、長期入院による生活力や社会性の低下を避けるためや薬や医療の進歩により、重症化する人が減ってきたこと、統合失調症の人の社会復帰が重視されてきていることが考えられています。
外来治療(通院)では担当医師との問診が中心になります。
主に睡眠が十分にとれているかや決まった量の薬をきちんと飲めているかなどに加え、日常生活で困っていることはないかなど聞かれます。
外来治療を続けていくには、統合失調症の人が通院する必要性について理解しているかが重要になります。
「病気じゃないから行きたくない」という人は、まだ自身が統合失調症だと思っていないか、統合失調症とはどういう病気かを理解していないのだと思います。その場合は「症状が軽くなるよ」「みんなが心配してるから受診してほしい」など家族のためにも受診してほしい気持ちを伝えてみて下さい。
詳しくは受診してもらうための説得のしかたー説得する会話のポイントは?を参照してください。
また、受診の際に考えがまとまらず、話すことが苦手な人の場合や先生に聞きたいことがある場合などは、あらかじめメモをしておくと良いと思います。
ある程度統合失調症の人の症状が落ち着いていれば、1人で通院させましょう。
なるべく1人で通院させるほうが、自立をうながすことになります。
しかし、数回に1回は家族が付き添いで一緒に受診し、担当医師と自宅での様子について直接話をするようにしましょう。治療を進めていく上で、自宅の様子を家族から聞くことでその後の治療方針(薬の増減)が、かわってくるかもしれません。
下記には僕の経験を記載します。
僕の父親が入院した時には、週に1回は家族の誰かが面会に行くようにしていました。
会いに行くたびに、父親の症状がだんだんと落ち着いていくのがわかりました。入院中は十分な睡眠や薬の服用がきちんと出来ていたからだと思います。
また、父親が入院したことで家族も休むことができたのも良かったです。
ただ、面会のたびに「帰りたい」と言う父親を説得するのが大変ではありました。「入院して治療を続けていけばきっと良くなるからもう少し入院してみよう」と説得していました。気を付けていたこととしては「もうすぐ帰れるよ」などウソになるようなことは、言わないようにしていました。
余裕が出てきたことで、退院後のことについても家族で話し合うことができました。
内容は通院の頻度や訪問看護やデイケアの利用などについてです。これは看護師や精神福祉士の方とも相談しながら決めていきました。
現在は父親は月に1回通院しています。車での通院になるため、家族の誰かが付き添うようにしていますが、受付や会計はあえて1人でやってもらうようにしています。
薬は錠剤ではなく、注射剤(デポ剤)を使用しています。そのため、問診のあとに看護師さんにうってもらっています。飲み忘れがなく、副作用もないため注射剤(デポ剤)を選んでよかったと思います。薬は個人によって副作用や効果が違うので、担当医師と相談して決めるようにしましょう。
薬物療法については統合失調症の治療はどんなことをするの?①薬物療法を参照してください。
今回は統合失調症の人の入院治療と退院(準備や目安)、外来治療(通院)についてでした。困っている人達の役に少しでも立てれば嬉しいです。
下記に僕が統合失調症の人の入院治療と外来治療(通院)について調べた際に、参考になった本を紹介しておきます。
他のおすすめ本についてもわかりやすいように、一覧にしてます。おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。
統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。
統合失調症の人の気持ちがわかる本
この本は、統合失調症の人とその家族のアンケートをもとに書かれており、統合失調症の人の本人談がいくつも書かれています。
統合失調症の人の気持ちと家族の気持ちの両方が書かれているので、共感できる部分が多いと思います。
統合失調症の人がどんなことに悩んでいるのかを知りたい人に、おすすめの本です。
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どうしたらいいの?「統合失調症」
統合失調症とはどんな病気かその症状や治療、周囲のサポートなどについて簡潔に書かれています。全95ページと他の本より薄いですが、その分読みやすく重要なポイントがまとめられています。統合失調症について知りたいが「時間がない」「何を読んだらいいのかわからない」という人にはおすすめの本です。本書を読んでもっと詳しく知りたいと思ったら、別の本を読むことにしてみたらいいと思います。
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ウルトラ図解 統合失調症 理解を深めて病気とともに歩む
統合失調症について詳しく書かれています。その分文字数も多いですが、オールカラーで図やイラストを使い、読みやすいように工夫されています。
初めて統合失調症について読む本としてはボリュームが多いとは思いますが、統合失調症についてしっかり学びたい人や統合失調症についての本を1冊読んでみて、もっと詳しく知りたいと思った人にはおすすめの本です。
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同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」
- みんなネット
https://seishinhoken.jp/profile
リンク先:みんなねっと(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会) - 全国きょうだいの会(略称)
https://www.normanet.ne.jp/~kyodai/index.html
リンク先:全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会