就職

統合失調症の人がオープンorクローズで働くメリットとデメリット

統合失調症の人でオープンとクローズどちらで就職するか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

オープンで就職する場合とクローズで就職する場合ではそれぞれ特徴があり、人によってどっちが合うかは違います。

この記事では統合失調症の人がオープンで就職する場合とクローズで就職する場合のメリットとデメリットについて記載しています。

それぞれの特徴を理解し、自分に合った就職先を見つけましょう。

これから就職活動する人や復職する人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。

  • 統合失調症を周囲に明らかにしている状態で、障がい者枠で働くことを「オープン」といいます。また、統合失調症を周囲に告げていない状態で働くことを「クローズ」といいます。
  • 「障がい者枠」とは身体・知的・精神障がい者を雇用するために設けられた枠のことです。
    応募するには障がい者手帳を持っていることが必要です。
    つまり統合失調症の人が応募する場合は、精神障がい者保健福祉手帳(精神障がい者手帳)が必要ということです。
  • 「一般枠」とは障がい者枠以外の求人のことです。障がい者手帳を持っていても、持っていなくても応募できます。

〇オープンで就職するメリット

職場の理解が得やすく長く続けやすい

就職する際や就職後も仕事量や就業時間など相談しやすく、周りからも配慮してもらえます。
また、適度に休憩をとることもできます。

企業との間に支援機関が入ってくれる

就労移行支援事業所などの支援機関では、履歴書の書き方や面接の模擬練習をしてくれます。
また就職後も定期的にスタッフと面接を行うことができます。

仕事での悩みやトラブルについて相談でき、会社との話し合いにも間に入ってくれます。

就職後も相談できる場所があるのは働いていく上で、とても心強いはずです。

薬を隠れて飲まなくていい

周囲の人も統合失調症ということは知っているため、薬の服用に対してのストレスが減ります。
決まった時間に服用することができるため、統合失調症の再発リスクを抑えることもできます。

✖オープンで就職するデメリット

希望の仕事が見つけにくい

障がい者枠での就職活動をするため、求人は一般枠に比べて少ないです。
そのため、希望する職種で働けない可能性があります。

自分のやりたい仕事ができない

希望する職種に就職できても、任せてもらえる仕事が限られてしまい、自分のやりたい仕事ができない可能性があります。

〇クローズで就職するメリット

求人数が多く、自分の好きな仕事や職種を選べる

障がい者枠の求人数より、多くの求人数があります。

その中から、自分の好きな仕事や職種を選ぶことができます。

オープンで就職するより給料が高い

働く職種や雇用形態(正社員か非正規かなど)にもよりますが、オープンで就職して働くよりも給料は高い傾向にあります。

✖クローズで就職するデメリット

病気がばれないか不安が生じる

統合失調症を隠したまま仕事をしなければならないため、精神的に不安を感じることになります。

仕事への配慮がない

統合失調症であることを隠しているため、仕事量(ノルマ)や勤務時間は他の人と同じように求められます。

企業との間に支援機関が入れない

クローズで就職した場合は、支援機関から就職先の企業への働きかけができません。

支援機関のサポートがないと、不安を一人で抱え込みやすい傾向にあります。

薬を隠れて飲む

薬を服用していると周りの人に何の薬か聞かれる心配から隠れて服用するケースが多いです。

統合失調症の人に負担の少ない仕事の特徴

再発しないようにするためにも、自分にとってストレスなどの負担が少ない職種を選ぶことが重要です。

下記に具体的な例も記載していますが、人によってさまざまな選択肢があります。

統合失調症の人に負担の少ない仕事の具体例 

  • 倉庫や流通センターでの商品管理
  • ビル清掃や廃棄物処理作業
  • 配達員や警備員、事務職など

人と接する機会が少ない仕事

統合失調症の人は人と話をすることが苦手で、人と接すること自体がストレスに感じる傾向にあります。

そのため、あまり人に接しない仕事がいいですが、オープンで就職する場合は勤務体制について支援機関を通して相談してみましょう。
例えば週に1~2回出勤で残りは在宅勤務にしてもらうなど自分に合った働き方ができないか相談してみましょう。

記憶力や判断力をあまり必要としない仕事

統合失調症になると記憶力が低下することに加え、臨機応変に対応することが難しくなります。

そのため新しく覚えることが少ない仕事(以前経験したことのある仕事など)や決まったパターンがある仕事(事務作業など)を選びましょう。

自分で計画を立てなくていい仕事

統合失調症の症状のひとつで優先順位をつけて計画を立てたり、効率よく作業するのが困難になることがあります。
そのため具体的な手順がわかっている仕事やあらかじめ段取りが決まっている仕事の方が負担が少なくすみます。

残業が少ない仕事

無理をしないよう仕事の後は十分に休む時間が確保できるような残業が少ない仕事を選びましょう。
ストレスを溜めないように発散したり、音楽を聞くなど自分の時間を大切にしましょう。

ストレスからくる再発に注意

統合失調症は再発しやすい病気といわれています。
再発を防ぐためには再発のサインを知っておく必要があります。
以下の記事を参考にしてください。

就労移行支援を利用する

就労移行支援とは一般企業への就職を目指す障がいのある人を対象に就職のサポートをする制度です。

就労移行支援で出来ること

  • 一般企業の就職にむけた知識や能力(体調管理についてやコミュニケーションなど)の向上を目指す。
  • ハローワークや地域障がい者職業センターと連携をし、最適な職場を見つけるサポートをする。
  • 就職後も定期的に本人とスタッフが面談をおこない、職場定着のサポートをする。

就労移行支援事業所は全国に3000ヶ所以上あります。

お住いの障がい者福祉課や地域障がい者職業センターで相談してみると近くの事業所を紹介してくれます。

事業所によって支援内容はさまざまです。
できれば複数の事業所を見学し、自分に合った事業所を見つけるようにしましょう。

今回は統合失調症の人がオープンorクローズで働くメリットとデメリットについてでした。
これから就職活動する人や復職する人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。

統合失調症を学ぶのにおすすめの本を一覧にしました。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」