治療

統合失調症の合併症-糖尿病の症状・治療・予防する方法について

この記事では統合失調症の合併症のひとつである糖尿病について記事にしています。

統合失調症の人が糖尿病になる可能性は、統合失調症でない人に比べて高いことが知られています。

その理由として、服用している薬の副作用(食欲亢進や代謝系に異常をきたす作用など)や不規則な生活習慣が考えられます。

糖尿病にはさまざまな合併症があり、命にかかわる合併症もあります。

まずは糖尿病にならないこと、もし糖尿病になってしまっても自己管理がきちんと出来るように糖尿病について学ぶことが大切です。

糖尿病と診断されて今後が不安な人や太ってきて糖尿病にならないか心配な人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。

糖尿病とは?

糖尿病とは常に血糖値が高い状態のことです。
血糖値を下げるには、膵臓からのインスリンの分泌が必要ですが、糖尿病の人はこのインスリンの分泌が上手くいっていないため血糖値が常に高い状態になってしまいます。

糖尿病には大きく分けて1型と2型があります。
1型はインスリンを分泌する細胞が破壊されてしまう病気で、インスリンがほとんど分泌されません。
2型は肥満や運動不足などの環境因子と遺伝的な因子が原因で、インスリンの分泌が悪く不足してしまう病気です。
糖尿病の人のほとんどは2型に分類されます。

糖尿病の症状

以下に糖尿病の症状を記載します。

  • よくのどが渇く
  • 昔より太り、肥満気味
  • すぐに疲れてしまう
  • 常に体がだるい
  • 傷の治りが遅い
  • 目がかすんで見えにくい
  • 音が聞こえにくい
  • きちんと食事をとっているのに痩せる
  • トイレに行く回数が増えた
  • 1回の尿の量が増えた

糖尿病の診断基準

一般社団法人 日本糖尿病学会  糖尿病診療ガイド2019年参照

①空腹時血糖値 126mg/dL以上
②随時血糖値 200mg/dL以上
③75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値 200mg/dL以上
④HbA1c(NGSP) 6.5%以上
⑤糖尿病の典型的な症状 口渇・多飲・多尿・体重減少
⑥糖尿病性網膜症 確実に存在する

上記の①~③のいずれかに当てはまり、かつ上記④~⑥のいずれかに当てはまった場合、「糖尿病」と診断する。

上記①~③のいずれかに当てはまるが、上記④~⑥のいずれにも当てはまらない場合は後日再検査をする。
その結果、上記①~④のいずれかに当てはまった場合は「糖尿病」と診断する。
当てはまらない場合は「糖尿病疑い」として3ヶ月~6ヶ月の間で血糖値とHbA1cの再検査を行う。

上記④だけ当てはまった場合は、後日再検査をする。
その結果、上記①~③のいずれかに当てはまったら「糖尿病」と診断する。
しかし、再検査でも上記④のみもしくは上記①~④のいずれにも当てはまらない場合は「糖尿病の疑い」として3ヶ月~6ヶ月の間で血糖値とHbA1cの再検査を行う。

糖尿病を放置するとどうなる?

血管内の血糖値が高いままだと血管を傷つける原因になります。

血管が傷ついた結果以下のような合併症を生じる可能性があります。

  • 糖尿病性網膜症
    目の細い血管がもろくなり、破裂すると視力低下を引き起こし、最悪の場合失明してします。
  • 糖尿病性神経症
    手先の細い血管が傷つき、血液量が低下します。その結果、神経が障害されてチクチクするような痛みがおこったり、逆に痛みを感じなくなったりします。
  • 糖尿病性腎症
    腎臓のろ過機能が障害を受けることで、腎臓の機能が低下してしまいます。最悪の場合、透析を受けなければいけなくなります。
  • 足の壊疽
    足の動脈が詰まったり、細菌感染の悪化により、組織が腐って皮膚が黒~暗褐色になってしまいます。最悪の場合足の切断をしなければいけなくなります。

上記以外にも動脈硬化が進んだり、歯周病や感染症の原因になるなど糖尿病の合併症は多岐にわたります。

糖尿病になった後の生活

  1. 食事療法の実施
  2. 運動療法の実施
  3. 毎日薬を飲むかインスリンを注射する。
  4. 定期的に血糖値などの検査を行い、経過を観察する。
  5. 栄養指導など受けて、生活習慣を改善するように努力する。

食事療法の実施

バランスよく食事をしましょう。

ミネラルやビタミンなどの栄養素もとるように心がけましょう。

1日に30種類以上とるのが理想と言われています。

食事は1日3食きちんと食べましょう

なるべく決まった時間に3食取るようにしましょう。
1日1食など1日3回食事をしないと体に脂肪を蓄積しようとするため、肥満につながってしまいます。
また、1食の食事量が増えると血糖値が急激に上がってしまうのでやめましょう。

よく噛みゆっくり食べましょう

よく嚙みゆっくり食べることで満腹中枢が刺激され、腹八分目でも満足感が増します。

また時間をかけることで、急激な血糖値の上昇を抑えることが出来ます。

自分にあったカロリーの食事をしましょう。

人によって1日に必要なエネルギー量は違います。

そのため、担当医師と相談して1日の摂取カロリーを決めるようにしてください。

1日の摂取カロリーが決まったら「糖尿病食事療法のための食品交換表」(食事療法の説明の際にもらえるはずです)を参考に献立を考えましょう。

運動療法の実施

有酸素運動をする(水泳やジョギングなど)

水泳やジョギングなどの有酸素運動をすることでエネルギーを消費しましょう。

運動をするのが難しい場合

時間がないなど運動をすることが難しい場合は、エレベーターやエスカレーターは使わず、階段を使うなど日常生活で、できることを取り入れてみましょう。

毎日薬を飲むかインスリンを注射する。

薬を服用するかインスリンを注射するかは人それぞれです。
飲み薬は薬によってインスリンの分泌を増やしたり、インスリンの効き目を良くする作用があります。
インスリンを注射するのはインスリンの分泌がない人や飲み薬の効果が薄い人、薬の副作用がある人などです。
どちらも食事療法と運動療法をきちんとおこなっていることが大事です。

定期的に血糖値などの検査を行い、経過を観察する。

定期的に血糖値など検査することで自己管理が出来ているかを確認します。

さまざまな検査項目があり、検査する頻度も項目によって違います。

きちんと検査結果を聞き、今の自分の体の状態を把握しましょう。

自己管理が出来ていない場合、合併症を発症する危険が高くなります。

自己管理が出来ない場合は、どうすればできるようになるか担当医師に相談してみましょう。

栄養指導など受けて、生活習慣を改善するように努力する。

自分で食事療法を続けるのが難しい場合は、管理栄養士の栄養指導を受けてみましょう。

カロリー計算だけでなく、食事をどんなふうに改善したらいいのか無理のない継続できる方法を一緒に考えてくれます。

糖尿病にならないために取り組むこと

食生活を改善する

  • 三食規則正しく食べ、深夜の飲食は控える。
  • 外食やコンビニ弁当などは控える。
  • 間食や濃い味の料理は控える。
  • 魚や野菜を取りいれ、バランスの良い食事をする。
  • 甘いものを控える。また、コーヒーや紅茶には砂糖を入れない。

運動をする

有酸素運動とレジスタンス運動の両方を取りいれる。

例:有酸素運動→水泳、ランキング、サイクリングなど
レジスタンス→筋肉トレーニング(腹筋・ダンベル・腕立て伏せなど)

頻度は週に3回以上、1週間に150時間以上が望ましいとされています。
しかし、過度の運動は体調を崩すことにもなります。

無理をしてしまうと続かない原因にもなります。
無理なく自分にあった運動量を継続しておこなう事が大切です。

 

今回は統合失調症の合併症のひとつである糖尿病についてでした。
糖尿病の人や今後糖尿病になるか不安に思っている人達の役に少しでも立てたら嬉しいです。

統合失調症を学ぶのにおすすめの本を一覧にしました。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」