統合失調症の経過と症状について
大きく分けて次の4つの時期ににわけることができます。
それぞれの時期について説明します。
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前駆期
この時期は病気のサイン(前兆ような症状)があらわれる。本人は自分が病気にかかっているとは思っていないため注意深く見る必要があります。
下記に主にみられる症状について記載しているので参考にしてください。ただし、全ての症状が出るのではなく、いくつか個人差があり微妙な変化もあるため、最近様子が変だと思ったら病院の受診をうながす必要があります。
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急性期
活動エネルギーが高くなり、脳が活発化している状態。神経が過敏になっている時期で、幻覚や幻聴などの陽性症状があらわれる。
この時期は自分や他人を傷つける行動をすることがあります。
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消耗期(休息期)
活動エネルギーが低くなり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返します。エネルギーを充電する時期で、陰性症状があらわれる。
この時期は無気力で起きてこれず、一日中寝ていることもあります。本人も何もできないことに罪悪感をもっているため、寝ていることに対して責めたり過度に世話をしたりはせず、ゆっくりと見守ることが大事な時期です。ストレスをかけすぎると急性期に逆戻りすることになります。
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回復期(安定期)
症状が落ち着いてきて余裕が生まれてくる時期ですが、認知機能障害が目立ってあらわれる。この時期は作業療法、デイケア、SST(社会生活技能訓練)などのリハビリテーションを受けて、ゆっくりと進めていきましょう。焦らず地道に進めるのが大事です。焦りすぎるとストレスとなり、再発の原因になります。
本人が働きたいといった場合にもまずはかかりつけの医師に相談しましょう。
はじめは、規則正しい生活を送ることから始めると良いと思います。(決まった時間に寝寝て起きる、一日にやる家事を決めてやってみたり、近所のスーパーで買い物をするなど)
統合失調症の主な症状について
前駆期に多い病気のサイン
- 夜寝れなくなる(不眠症)
- 落ち着きがなくソワソワする
- 不登校など自宅に引きこもるようになる
- 独り言や急に笑い出すなどの行動がみられる
- 何もせず長時間ぼんやりしている(無気力になる)
- 部屋を片付けることができず、身だしなみも気をつかわなくなる
- 音や光に敏感になる
- 突然怒りっぽくなる
- 会話が飛んだりして会話が通じなくなる(会話のキャッチボールができない)・・など
急性期に多い陽性症状(神経が過敏になっている状態)
- 幻覚や幻聴
- 妄想
- 興奮や暴力
- 他人との境界線があいまいになる
- 思考障害
消耗期に多い陰性症状(脳の活動が低下している状態)
- 記憶力や判断力、注意力の低下
- 感情の表現がうまくいかなくなる
回復期(安定期)にあらわれる認知機能障害
- 記憶力の低下
- 選択照合の低下
- 注意力の低下
- 集中力の低下
- 比較照合の低下
- 概念形成の低下
急性期に多い陽性症状
- 幻覚や幻聴
ブツブツ独り言や目の前に人がいないのに会話をする。おかしなことがないのにニヤニヤする。 - 妄想
誇大妄想(自分の能力を過大評価したり、実際には存在しない地位や財産があるように思い込む妄想)
被害妄想(みんなが自分の悪口を言っているとか、お金や物を盗まれたなど思い込む妄想)
関連妄想(すれ違った通行人の咳払いが自分にむけた合図だなどあらゆることが自分にとって関係があると思い込む妄想) - 興奮や暴力
急に興奮して、暴言や暴力をふるう。 - 他人との境界線があいまいになる
思考伝播(さとられ体験)
自分の考えや秘密が周囲の人にもれて、筒抜けになっているように感じてしまっている。
作為体験(させられ体験)
誰かの命令で自分の考えや行動があやつられているように感じている。 - 思考障害
考えがまとまらず、急に話し出したり黙ったりします。 - 意欲の低下や社会的引きこもり(うつ病のような症状)
まわりのことに興味を示さなくなったり、自分の世界に閉じこもり他人とのコミュニケーションを取らなくなる。
消耗期に多い陰性症状
- 記憶力や判断力、注意力の低下
新しい事を覚えるのが遅い、計画を立てて実行することが出来ない、一つのことに集中出来ない。 - 感情の表現がうまくいかなくなる
表情の変化が少なくなり、口数も減ってくる。
回復期(安定期)にあらわれる認知機能障害。
- 記憶力の低下
複雑な作業のやり方を忘れてしまう。新しいことをなかなか覚えられない。症状は徐々に進むため本人はなかなか気が付かないことが多い。 - 選択照合の低下
複数の情報や刺激を手順良く選択して進めることができない。 - 注意力の低下
会話中でも周囲のことに気を取られ、落ち着きがない。 - 集中力の低下
一つのことに集中して取り組むことが難しい。 - 比較照合の低下
過去の記憶と比較して関連付けて判断することができない。前に失敗したことを何度も繰り返してしまう。 - 概念形成の低下
物事をグループに分けて概念をつくることができない。整理整頓ができず部屋が汚くなったり、臨機応変に対応することが難しくなったりする。
下記に僕の経験を記載します。当時は統合失調症の知識がなかったため、今思い返してみるとあの症状は病気のサインだったんだと改めて思うこともあります。
個人により症状も経過日数も違いますが、参考にしてください。
僕の父親は前駆期に不眠症や落ち着きがなくソワソワする、怒りっぽくなる、会話が通じなくなるなど複数の症状がありましたが、当時は統合失調症の知識がなく、この時期に病院へ連れていくことはしませんでした。
急性期に入ると妄想や幻聴それに伴い、暴言や暴力を振るうようになりました。この時期に病院に行くように言ったりしましたが、本人が強く拒否をしその話をすると逆上して手に負えない状態になってしまい、家族にとっても大変な時期でした。
今思い返すとこの時期は父親に振り回されて、僕や家族にも余裕がない状態でした。父親を病院に連れていきたいが本人が拒否しているため、どうしたらいいのかわからないと思いながら過ごしていました。
今だったら間違いなく、まずはどこかに相談します。
もし同じようにどうしたらいいのかわからないと思っている人は、まずは専門の窓口で相談してみてください。家族だけで解決しなければいけないなんてことはありません。かかりつけの病院・クリニックがあれば担当医師に相談もしくはこのサイトの困った時の相談場所一覧からお住いの地域の相談場所を探してみてください。
他の人の力をかりていいんです。ひとりで抱え込まないで相談しましょう。
僕はこのまま父親と一緒にいることが危険と判断し、母親と弟を連れて一時的に避難することにしました。一ヶ月ほど父親を一人することになり、その間に父親は階段から落ちた怪我が原因で入院することとなりました。不幸中の幸いで大事には至りませんでした。
これはたまたまですが、入院先に精神科があり精神保健福祉の方が相談に乗ってくれました。どうしたらいいのかわからない状態だったため、話を聞いてもらいとても助かりました。精神科病棟がないため、そのまま入院して統合失調症の治療をすることは出来ませんでしたが、精神病院を紹介してくれました。その後、精神病院での薬物療法により家族から見ても症状が改善しました。
現在は通院をしつつ、薬の服用により消耗期~回復期にいる状態だと思います。
調子のいい日もあれば、一日中布団から出てこれない日もあり体調には波がありますが、規則正しい生活を送るように、頑張っているように思います。他人からは怠けているように見えるかもしれませんが、エネルギーを蓄える時期だと思って、急かすようなことはしないようにしています。
今回は統合失調症の経過と症状についてでした。下記に僕が統合失調症について調べた際に参考になった本を紹介しておきます。他のおすすめ本も一覧にしてます。おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参考にしてください。少しでも役に立てれば嬉しいです。
統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。
マンガでわかる!統合失調症
統合失調症の母親をもつ子供目線で書かれており、感情移入しやすかったです。
マンガのためイラスト中心で読みやすく、スラスラ読み進めることができました。
重要なポイントも分かりやすく書かれていたため、文字ばかりの専門書が苦手な人や統合失調症についてこれから学びたいと思っている人におすすめの本です。
また、統合失調症の人の中には、本を読むことができなくなってしまう人もいますが、この本なら気軽に読めるのではないかと思います。
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どうしたらいいの?「統合失調症」
統合失調症とはどんな病気かその症状や治療、周囲のサポートなどについて簡潔に書かれています。全95ページと他の本より薄いですが、その分読みやすく重要なポイントがまとめられています。統合失調症について知りたいが「時間がない」「何を読んだらいいのかわからない」という人にはおすすめの本です。本書を読んでもっと詳しく知りたいと思ったら、別の本を読むことにしてみたらいいと思います。
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同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」
- みんなネット
https://seishinhoken.jp/profile
リンク先:みんなねっと(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会) - 全国きょうだいの会(略称)
https://www.normanet.ne.jp/~kyodai/index.html
リンク先:全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会