この記事では、統合失調症の人の服用している薬(抗精神病薬)が、妊娠と出産にどのような影響を与えるかを書いています。
統合失調症の人は、症状を抑えるために日常的に薬(抗精神病薬)を飲んでいると思います。
今飲んでいる薬(抗精神病薬)が、妊娠や出産に影響がないか心配な人は男女共に多いはずです。
結論からいうと、服用している薬(抗精神病薬)が将来の子供へ悪影響を及ぼす心配はありません。
また、妊活中や妊娠中の女性であっても、必要な量の薬(抗精神病薬)を服用することは、母体には必要なことで、医師の管理のもと服用すれば、妊娠や出産に悪影響はありません。
この記事を読むことで、今後妊活を考えている方や将来妊娠することに不安を感じている方の不安を、少しでも取り除けたら嬉しいです。
将来の子供に与える影響(男性・女性)
男性の方の場合、薬(抗精神病薬)により精子が影響を受けることはないため、将来の子供に与える影響を心配する必要はありません。
また、妊娠前の女性の方においても、服用している薬(抗精神病薬)が悪影響を及ぼすことはないため、心配する必要はありません。
なぜなら、2020年時点で胎児に明らかに影響があり、妊娠中においても絶対に飲んではいけないといわれている薬(抗精神病薬)はないからです。
そのため、飲んでいる薬(抗精神病薬)が将来の子供に影響することはないと考えられます。安心してください。
それでも不安な方や心配な方は担当医師に相談して、きちんと説明を受けてみて下さい。
疑問や不安な点をそのままにしておくことは、大きなストレスに繋がる恐れ入ります。
また、妊娠・出産についてはパートナーとしっかり話し合うことも大切です。
「子供が欲しい」と思った段階で、担当医師に相談し、薬(抗精神病薬)の調節をしつつ、妊娠・出産に備えることが良いと思います。
胎児が薬の影響を受けやすい時期
胎児が薬(抗精神病薬)の影響を受けやすい時期は、妊娠初期(4~15週)と言われています。
なぜなら、妊娠初期は重要な臓器が作られる時期だからです。
この時期は担当医師とよく相談し、薬(抗精神病薬)の調節をするようにしましょう。
妊娠初期を過ぎると、薬が胎児へ影響することは相対的に小さくなってきます。
妊娠中薬を飲む際に気を付けること
妊娠初期においては、担当医師と次の点についてよく話し合ってください。
- 薬(抗精神病薬)が与える胎児への影響について
- 薬(抗精神病薬)を減らすことで統合失調症の症状が悪化しないかについて
上記にも書きましたが、妊娠初期においては、胎児が薬の影響を受けやすいといわれています。
疑問や不安に思っていることはきちんと質問し、今服用している薬(抗精神病薬)や今後服用する薬についても、担当医師から十分に説明を受けて下さい。
女性にとって、妊娠や出産は身体的にも精神的にも大きなストレスとなります。
そのため、再発のリスクはそれまでと比べ高くなります。
薬(抗精神病薬)はただ減らせばいいというものではありません。
自己判断で薬をやめること絶対にやめましょう。必ず担当医師と相談してください。
薬(抗精神病薬)を減らすことで統合失調症の症状が悪化した場合、母体のホルモンバランスも崩れて、胎児にも悪影響がでる可能性があります。
最悪、出産自体が難しくなる場合も考えられます。
したがって、担当医師と相談して減薬していくことが重要です。
出産間近では可能な限り薬の量を減らしたり、一時的に服用やめることも検討されます。
また、母乳の中には薬の成分が混じることがあるります。
そのため、母乳での育児を考えている人は、妊娠中に担当医師に相談しておきましょう。
妊娠中・出産後の治療について
妊娠中に統合失調症の症状が悪化し、ひどい興奮や自傷行為などがある場合には通電療法(電気けいれん療法)を行うこともあります。
通電療法(電気けいれん療法)
興奮や昏迷などの症状が強いが薬の投与ができない、または、自殺の危険性が高い場合に行われる治療です。
頭部に電流を流すことで脳の神経細胞を刺激し、症状を改善することが出来ます。
安全で即効性はありますが、持続性がありません。
また、実施する場合には必ず本人および家族の同意書が必要になります。
出産後はなれない環境でのストレスから再発しやすくなっているため、比較的早く薬の服用が再開されます。
睡眠がしっかりとれるような体制だと安心なので、家族にも協力してもらいましょう。
もし家族に頼れない場合は、お近くの保健所か子育て世代包括支援センターに相談してみて下さい。
一人で悩む必要はありません。困った時の相談場所一覧から検索してみて下さい。
今回は統合失調症の服用している薬と妊娠と出産の関係についてでした。
今後妊活を考えている方、将来妊娠することに不安を感じている方達の役に少しでも立てれば嬉しいです。
下記に僕が統合失調症を学ぶのに使用した本について、わかりやすいように一覧にしています。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。
統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。
同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」
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