症状・検査

統合失調症と似ている症状の低血糖症とは?-関連するビタミンと必須脂肪酸

統合失調症の人は乱れた生活になりやすく、偏った食事になる傾向にあります。

炭水化物(糖質)に偏った食事になると、血糖の急上昇急降下をおこし、結果的に低血糖症を引き起こすことになります。

低血糖症では統合失調症の症状に似た精神症状がでてきます。

一般的な検査では低血糖症かを判断するのは困難です。

時にはこちらから主治医に検査をお願いすることも必要です。

今回は低血糖症と統合失調症と関係するビタミンと必須脂肪酸についてご紹介します。

低血糖症の原因や症状に当てはまる人は一度低血糖症の検査をしてみてはいかがでしょうか。

統合失調症と食事

統合失調症の人は食事の偏りが見られます。

インスタント食品やファーストフードが食事で多い人は炭水化物(糖質)と脂質の過剰摂取しているため肥満になりやすくなっています。

とくに甘い物や清涼飲料水(コーラなど)が好きな人は糖質が過剰になり、生活習慣病である糖尿病のリスクが高くなります

一方で炭水化物や脂質以外のその他の栄養素(ビタミンやミネラル、食物繊維)は不足しがちです。

そのため知らず知らずのうちに新型の栄養失調や低血糖症になっている可能性があります。

低血糖症とは?

低血糖症とは血糖値が基準値以下(70mg/dl以下)に下がった状態のことです。

血糖値が急激に上がると膵臓は大量のインスリンを分泌し、血糖値を急激に下げようとします。
その結果血糖値が異常に下がってしまうのです。

血糖の急上昇と急下降は身体に悪循環を及ぼし、さまざまな症状がでてきます。

また服用している薬以外で血糖値が急激に下がる場合は、その原因を特定する必要があります。

薬による低血糖症

糖尿病の薬の服用が不適切だった場合も低血糖をおこす原因になります。

薬を飲み忘れたからと言って、2回分を一度に飲むなどすると低血糖症になります。

薬を服用する際には、用法や用量はきちんと守りましょう。

原因

主な原因は不規則な食事による糖質の過剰摂取や食物繊維の不足、カフェインやアルコールの過剰摂取、ストレス、甲状腺機能障害、胃の切除後などです。

次の項目に多く該当する人は注意
  • パンや麺、白米が大好きでよく食べる
  • お菓子などの甘い物が大好きでよく食べる
  • 朝食を抜いたり食事時間が不規則
  • 過度な食事制限などのダイエットをしている

症状

低血糖の精神的症状には統合失調症と似た症状があります。
例えば突然のイライラや気分の落ち込みなど情緒不安定になることや不眠、甘い物が無性に食べたくなる、幻聴や幻覚などの症状があります。
身体的な症状は手足のふるえ、頭痛、空腹感、発汗、動悸、眠気、倦怠感などがあります。

低血糖の主な症状
血糖値 症状
60mg/dl以下 異常な空腹感・発汗(冷や汗)・動悸・不安感・倦怠感
40mg/dl以下 めまい・眠気・集中力の低下・目がかすむ・言語障害
30mg/dl以下 異常行動・意識消失・痙攣

検査

低血糖症の人の血糖値が急下降するのが食後3~4時間と言われています。

1回の血糖値の測定では血糖値の急上昇・急降下は判断できないため、低血糖症かを判断するには食後4時間の間に複数回は血糖値を検査する必要があります。

2時間以上の糖負荷試験は自由診療のため、病院によって検査料金が違う点や検査料金は全額自己負担になります。

病院やクリニックを受診する前に検査ができるか、料金はいくらになるか確認しておきましょう。

自分で検査したい人はフリースタイル リブレ(アボット社)がおすすめです。
腕にセンサーを装着することで最大14日間、いつでも血糖値を測定することができます。
これなら何回も針を刺して血糖値を測定しなくてすみます。

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治療

低血糖の治療には食事療法や生活習慣の改善が中心になります。
不足しているビタミンやミネラルはもちろんですが、低血糖症の人はタンパク質が足りていない傾向にあります。
そのため、肉や魚などのタンパク質もしっかりと取るように指導されます。

血糖の上昇を防ぐ方法

急激な血糖値の上昇を防ぐためには以下のことを実践しましょう。

  • 食事は時間をかけてゆっくり食べる
  • 野菜→お米(糖質)の順に食べる
  • 過度なアルコールを控える
  • 3食しっかりと食べる
  • GI値の低い食品を選ぶなど

糖質中心の食生活を見直し、3食きちんとバランスの良い食事を心掛けましょう。

統合失調症と関係する栄養素

統合失調症に関係していると言われる栄養素にはビタミンB3と必須脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)があります。

統合失調症とビタミンB3の関係

統合失調症の人は偏った食事からビタミン群が不足しがちです。

中でも注目されているのがビタミンB3(ナイアシン)です。

ビタミンB3の働きは以下の通りです。

  1. 各酵素の補補酵素として働き、皮膚や粘膜の炎症を抑えます。
  2. 血管の拡張作用
  3. アルコールの分解を助け、二日酔いの予防に係る。
  4. 糖代謝と脂質代謝で重要な働きをし、エネルギーの産生に関与しています。
  5. ホルモンの合成やDNAの修復、細胞分裂に関与
  6. 神経症状を抑える

ビタミンB3の欠乏症にはペラグラが代表的です。
主な症状は皮膚症状(日光の当たる箇所が皮膚炎をおこし、褐色の色素沈着と皮膚萎縮)、下痢、幻覚や妄想などがあります。

ペラグラの症状の一部は統合失調症の症状と似ています。

海外の研究ではうつ病や統合失調症と診断された人にビタミンB3を中心にビタミンやミネラルを補充する治療をおこなったことで症状の改善がみられた症例もあります。

そのため、ビタミンB3は「うつ病」や「統合失調症」に効くことが期待されています。
しかし現在も関係性についての論文自体が少なく、未だに研究段階のようです。

ビタミンB3は魚介類やレバー、落花生、キノコ類に多く含まれています。

食事でとることが難しい場合はサプリメントを使用しましょう。

統合失調症と必須脂肪酸の関係

統合失調症と関係がある必須脂肪酸にDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)があります。

DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は血液をサラサラにする効果や脳機能を正常に保つ働きがあります。

海外の研究から、うつ病の人の血中のDHAとEPAの濃度が低いことが分かっています。
また、DHAとEPAは統合失調症にも効果があり、発症予防の効果が期待されています。

DHAとEPAはサバやイワシ、マグロなどの青魚に多く含まれています。

 

今回は低血糖症と統合失調症と関係するビタミンと必須脂肪酸についてでした。

低血糖症には統合失調症の症状に似た精神的症状がありますが、低血糖症の検査をしたことのある人は少ないのではないでしょうか。

もしかしたら統合失調症などの精神病と診断された人の中には低血糖症の人が含まれているかもしれません。

低血糖症の原因や症状に当てはまる人は一度低血糖症の検査を受けてみるかフリースタイル リブレ(アボット社)を使用して持続的に血糖値を測定してみてはいかがでしょうか。
(検査は全額自己負担になることが多いため、事前にどのくらいかかるか聞いておきましょう。)

今回の記事が困っている人達の役に少しでもたてたら嬉しいです。

今回「食事で治す心の病」という本を特に参考にしました。
他の本ではあまり見ない食事と統合失調症についての関係が詳しく書かれています。
(その中で低血糖と統合失調症についても触れられています)
気になる方はぜひ一度読んでみて下さい。

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統合失調症を学ぶのにおすすめの本を一覧にしました。
おすすめ書籍一覧:統合失調症についてを参照してください。

統合失調症の人と家族が少しでも穏やかに過ごせますように。それではまた。

同じ悩みを抱える人との交流の場「家族会」